新しい家族が増える喜びと同時に、これまでの生活が一変する出産。出産後の体にも、さまざまな変化が起こります。これは妊娠により増えていた女性ホルモンが、出産後、急激に減少することが原因。また、慣れない育児に対する不安や寝不足がストレス となって心身に影響を与えることも。ひとりでかかえ込まずに、パートナーと協力して乗り切れるといいですね。
妊娠や出産をすると、体のなかでさまざまな変化が起こります。その変化には、女性ホルモンが深くかかわっています。今は考えられない人も、将来赤ちゃんを望んだときにあわてないよう、妊娠・出産のメカニズムを知っておきましょう。
「排卵」とは、成熟した卵子が卵巣を飛び出すことをいいます。月経の周期が28日の場合、排卵日は最終月経の開始日から14日目ごろ。このころにセックスをすることで妊娠の可能性がでてきます。1回の射精で1億~4億もの精子が腔内に飛び出しますが、子宮を通り卵管の先で卵子と出会えるのはほんのわずか。そのうち1匹の精子が卵子のなかに入り「受精」します。受精卵は細胞分裂をくり返しながら子宮へと移動し、子宮内膜に根を張り「着床」。これにより妊娠が成立します。
勉強や仕事、人間関係、経済的なこと、引っ越しや結婚などの環境の変化や、暑さ寒さまで、私たちのまわりにはストレスの原因となることがいっぱい。ストレス社会といわれるほど、だれもがみんなストレスを受けて暮らしています。
ストレスという刺激を長い期間受け続けていたり、とても強いストレスを受けたりすると、めまいや頭痛、肩こり、冷え、イライラ、集中力の低下など、体や心にたくさんの不調があらわれます。この原因としてまずあげられるのが自律神経のパランスのくずれです。
自律神経には、活動しているときに多く働く交感神経と、リラックスしているときに多く働く副交感神経があります。そして、そのふたつがうまくバランスをとりながら、血圧を上げたり下げたり、汗を出したりおさえたり、というように体をコントロールしています。それがストレスで交感神経ばかりが働くことになり、体や心が不安定になるのです。
自律神経の働きを調節しているのは脳の視床下部です。視床下部は、さまざまなホルモン分泌の調節も行っている器官で、下垂体に性腺刺激ホルモンを出すように指令する働きもしています。
自律神経のバランスの乱れは、視床下部の調節機能を乱し、ホルモンの分泌にも影響を与えます。女性ホルモンの分泌も乱れてしまい、月経不順などが起こるのです。ストレスから月経が止まってしまったりするのは、このためです。
ピルは、女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合した薬です。ピルを飲んでいるあいだは、排卵が止まります。さらに子宮内膜の増殖をおさえる働きがあり、受精卵を着床しにくくするため、正しく飲んでいれば、はぼ100%の避妊効果があるといわれます。
ピルを飲むことで得られる効果は、避妊だけではありません。ピルを飲んで女性ホルモンのバランスをよくすることにより月経周期が整います。子宮内膜の増殖をおさえる効果で、月経にともなう痛みや、出血量がおさえられたりします。ピルの飲み方を工夫すれば月経の日を調節することもでき、そのはかにもニキビや肌荒れ、多毛の改善、肌の老化防止などの効果もみられます。
1999年から日本でも使われるようになった低用量ピルは、薬に含まれる卵胞ホルモンの量がそれまでにもあった中用量、高用量のピルより少なく、副作用がはとんどありません。避妊薬としてではなく、月経困難症や月経不順、PMS、子宮内膜症などの治療に使われることも多くなっています。
副作用がほとんどない低用量ピルですが、人によっては薬を飲みはじめたときに、頭痛やむかつきを感じたり、むくんだり、乳房が張ったりすることもあります。でも、それも服用を続けるうちになくなるようです。
低用量ピルの服用に注意が必要とされるのは、35歳以上で1日に15本以上喫煙している人。血管に血のかたまりがつまる血栓症になるリスクが高くなるとされているからです。そのほか、乳がんや子宮顛がん、子宮体がんにかかっている人、高血圧、ひどい頭痛もち、肝臓や腎臓、心臓などに疾患のある人なども、服用には注意が必要です。
ただ、日本人には血栓症などの大きな副作用が起こるのはまれのようです。服用が可能かどうかは、その人の症状によっても違います。低用量ピルを手に入れるには婦人科を受診して処方してもらわなくてはならないため、気になることは医師とよく相談しましょう。
病気が原因で、ホルモンの分泌が乱れている場合は、その病気を治すことが第一に優先されます。でも、女性ホルモンの分泌をとり行っている視床下部や下垂体、卵巣などの器官にとくにトラブルがないのに、ホルモンの分泌が乱れている場合もよくあることです。そんなときには、生活習慣や食生活を見直してみることが基本となります。
不規則な生活、栄養の不足やかたよりは、体がもともともっている抵抗力や回復力を低下させ、体調をくずす大きな要因となります。体調のくずれは女性ホルモンの分泌を乱し、それがもとでさらに体のあちこちに不調があらわれてしまうのです。規則正しい生活を送ること、バランスのよい食事をとることは、美しく健康に暮らしていくためにはかかせないことです。
小学生のようですが、早寝早起きは体のリズムを整えるための基本中の基本。夜きちんと睡眠をとって体を休め、昼に活動するのが人間の体に組み込まれている自然のリズムです。そのリズムをくずしていると、自律神経に影響を与え、つねに興奮している状態になってリラックスできず疲れていきます。さまざまなホルモンの分泌も睡眠のリズムに影響を受けているため、生活のリズムを整えるだけでも、肌荒れや倦怠感などの不調に効果があり、免疫力もアップしていくのです。
とくに朝、起きる時間を一定にすることが大切といわれます。そして起きたときには、太陽の光をしっかり浴びること。すると体がすっきり目覚め、規則正しいリズムをつくっていけます。休みの日に、たっぷり眠れるからと昼過ぎまで寝ているようなことは、かえって体のリズムをくずし、不調を招くもと。いつもより少しゆっくりめに起きるくらいにしておくのがおすすめです。
人間の体の状態はさまざまなホルモンの働きによって維持されています。というと、とても大量のホルモンが体中を流れているように思えますが、一生に分泌されるホルモン全部を集めてもスプーンに何杯かのわずかな量なのだといわれています。ホルモンはどれもがほんの微量で効果を発揮するのです。
その微量の分泌は繊細で、多くても少なくても体に支障をきたします。通常、ホルモン同士の働きなどで分泌はうまくコントロールされていますが、不規則な生活やストレス、病気などが原因となり、どこか1か所の分泌がくずれると、そのホルモンに関係している別のホルモンのバランスもおかしくなってしまいます。体調の悪さがホルモンの分泌を乱し、ホルモンの分泌の乱れでさらに不調が起こるといった状態におちいってしまうのです。
女性の体のリズムをつくっている女性ホルモンは、脳の視床下部、下垂体、卵巣の機能や、性腺刺激ホルモンの働きなどのどこかにトラブルが起これば、分泌が乱れてしまいます。すると月経不順やPMSをはじめとする月経に関する不調が起こり、卵胞ホルモン(エストロゲン)が減少すると、その働きで保たれていた肌のハリや潤いがなくなったり、将来骨粗粗症を起こしやすくなったりもするのです。
また、女性ホルモンの分泌を促そうと視床下部が活発に働くことに自律神経も影響を受け、頭痛やイライラなどの不調も起こります。更年期には、加齢による女性ホルモン分泌の急激な減少によって、そうしたさまざまな不調が起こりますが、若い人でも女性ホルモンの分泌が悪くなれば、似たような症状が起こるのです。
周期的な体のリズムには個人差があります。自分のリズムを知るためには、基礎体温をつけることがおすすめです。基礎体温とは、生命を維持するためだけにエネルギーを使っているときの体温のこと。つまり、眠っているときの体温なのですが、眠っているときに自分で体温ははかれないため、朝目覚めたとき、活動を開始する前に布団の中ではかります。
女性ホルモンの黄体ホルモン(プロゲステロン)には体温を上げる働きがあるため、黄体ホルモンの分泌が活発になると体温が上がり、分泌量が減少すると体温は下がります。そのため基礎体温の変化は女性ホルモンの変化を知る手がかりとなるのです。そして、女性ホルモンの変化によって起こる排卵や月経、体調の変化などのサイクルの予測にも、役立てることができます。
基礎体温の変化を知るためには、毎朝続けてはかることが必要です。毎朝、顔を洗うように体温の計測を習慣に。枕元には必ず婦人体温計を準備して寝ましょう。基礎体温表もあわせて準備しておいて、はかったらすぐに記入します。基礎体温表には、体温だけでなく月経やおりもの、そのほか体調で気づいたことなどもメモしておくとよいでしょう。
はかる時間は毎朝できるだけ同じにするのが原則。起き上がらずに寝たままの状態ではかります。多少時間がずれたとしても、毎日はかることが重要です。まずは自分の月経周期1サイクルを目標にしてはじめましょう。
熱が出るわけではないので、基礎体温の変化はわずかなものです。そのため、普通の体温計より細かい温度まで表示される婦人体温計を使ってはかります。婦人体温計の中にははかった体温を記録しグラフにできたり、排卵や月経を予測したりする便利な機能がついたものもあります。基礎体温表は、病院や薬局で手に入るほか、インターネットでダウンロードできるものもあるので、自分の気に入ったものを選ぶとよいでしょう。
受精卵の着床にそなえ増殖した子宮内膜が、受精卵がこなかったためにはがれ、血液とともに排出されるのが生理(月経)です。月経は、通常ならば28日ほどの一定のサイクルでやってきます。女性の体は、そのサイクルで変化をくり返しているわけです。
排卵や、こうした子宮内膜の変化を女性の体に起こしているのは、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)、そしてそのふたつのホルモンを分泌させるよう作用する性腺刺激ホルモンなどです。これらのホルモンの働きで、毎月の体のリズムがつくられています。
ただし体のリズムはいつも一定とは限りません。また個人によっても違いがあり、そのリズムによって引き起こされる、不調などのあらわれ方も変わってきます。自分のリズムをつかむことがまず大切。すると体調の変化にある程度の予測がつき、落ち着いて対処できるはずですし、いつもと違う変化には早く気づけるでしょう。
女性の場合、成長には女性ホルモンの分泌が深くかかわっています。乳幼児期・小児期は、まだ女性ホルモンの分泌がほんのわずか。影響をはとんど受けず、8歳くらいまでは男女で大きな性差は見られません。それが思春期から分泌が盛んになる女性ホルモンとともに、心も体も大きく変化していくのです。
自分がどのような状態にいるのか、これからどんな変化をしていくのかを知ることは、ホルモンによって影響を受ける体調をコントロールし、少しでも快適に暮らしていくためのヒントになるはずです。
8~18歳くらいまでが思春期といわれる時期。女性ホルモンの分泌が盛んになっていき、体が丸みをおぴたり、陰毛が生えたり、月経がはじまったりといった変化が起こりす’す。
でも、子宮や卵巣はまだ未熟なため、月経もはじめは不規則。ホルモンの分泌が急激に増加するのについていけず、頭痛やだるさを感じたり、イライラしたり急に元気になったりと、心も体も不安定です。また、成長の早さにはかなり個人差があり、そのことで悩む場合も。だれもがそうした時期を通過していきます。
この時期に注意したいのはダイエット。女性ホルモンの働きで20代前半までに一生分の骨がつくられます。栄養不足になれば、十分な骨はできません。月経不順も招き、将来困ったことに。成長に必要な栄養をきちんととることが大切です。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)はそれぞれに働きがありますが、ふたつのホルモンが協力して行う大きな働きといえば、妊娠、出産に備え子宮の環境を整えること。卵胞ホルモンが子宮内膜を増殖させ、黄体ホルモンが増殖した子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態にしていきます。
妊娠が成立しなければ、黄体ホルモンの分泌が減って、必要のなくなった子宮内膜がはがれおち、月経が起こります。そしてまた、卵胞ホルモンの分泌が増えはじめて、子宮内膜が増殖していくというわけです。
ふたつの女性ホルモンがバランスよく分泌されていることで、一定の周期でそうした子宮内膜の変化がくり返されます。そして毎月の女性の体のリズムが生まれているのです。
卵胞ホルモンには、排卵前に精子が通りやすくなるように子宮顕管の分泌液を増やしたり、妊娠中に乳汁が出るのをおさえる働きもあります。また、丸みをおびた女性らしい体をつくるのも卵胞ホルモンの働き。思春期のころ、体つきが女の子らしく変化していくのは、そのころから卵胞ホルモンの分泌が増えるからです。
女性にとってうれしいのは、肌のハリや潤いを保つ働き。これは卵胞ホルモンにコラーゲンの生成を助ける働きがあるためです。そのほかにも、骨の密度を保つ、コレステロールを調節して動脈硬化を防ぐ、記憶力の低下を防ぐ、感情を安定させるなど、卵胞ホルモンは体のあちこちに作用しています。卵胞ホルモンは、女性が健康や若々しさをキープしていくために、とても大切なホルモンなのです。